蟲師

アクタヌーンの連載当初から「蟲師」を読んでいましたが最近降幕となり残念。この漫画は個人的にかなりお気に入りです。お気に入りの本だけを詰めた本棚にこの本も収めています。
一話読み切りが基本になります。生物と無生物の間にいる「蟲」が起因になり人間に様々な影響を与えます。主人公の「ギンコ」は蟲を愛でつつ蟲と人間の折り合いをつけようとします。「蟲」自体は決して悪いのではなく、ありのままに生きているだけです。しかし「蟲」に取り付かれた人間は大抵不幸になっています、だからギンコは蟲の影響を取り除く医者のような存在でしょうか。
ギンコは蟲を寄せる体質のため浮き草のような生活をしています。日本の原風景のような田舎が物語の舞台になることが多いです。そのためどことなくノスタルジックで郷愁があり、物悲しい話、摂理による残酷な話、ほっと心温まる話、様々な物語が一話読みきりで綴られていきます。
個人的に特に好きな話は「筆の海」という物語です。昔の天災の時に出現した禁種の蟲を「狩房探幽」の先祖の体に封じられます。狩房家の数代に一人生まれる墨色の痣を持つ人が筆記者と呼ばれます。探幽が様々な蟲師からの話を紙に書き写し、その行為により体内の蟲を紙に移し併せて禁種の蟲にとっての呪なります。探幽の片足は蟲の影響で墨色の痣があり自由に動きません、また書き写す時に足に激痛が走ります。探幽は四代目の筆記者で彼女の先祖が少しずつ蟲を封じてきたのです。そんな境遇の探幽ですが、蟲を恨まず、蟲と生物が共生している話を好みます。「筆の海」ではギンコと探幽の心の繋がりを綴った物語です。
全体をとおして科学的は話なく、日本の昔話や民話に近い物語です。蟲師を読むと「私って日本人だな」って思います。淡々としていますが、心に響く漫画は少ないと思います。降幕になって本当に残念。

蟲師 (2)  アフタヌーンKC (284)

蟲師 (2) アフタヌーンKC (284)